新発表「iPhone 12」のディスプレイ仕様を考察する

Published October 16, 2020
DSCC田村喜男の視点

本稿では、10月14日 (日本時間深夜2時) に開催されたAppleの発表会でアナウンスされた注目の2020年モデル「iPhone 12」に関して、主にディスプレイの側面からDSCCの分析を紹介したい。

今回の新製品4モデルの搭載ディスプレイは、DSCCの最新刊 Quarterly OLED Shipment Report での予測通りのパネルカテゴリーであった。各モデル別の標準タイプ価格は、低価格モデルから順に$699、$799、$999、$1,099である。iPhone 11発売時の価格構成と類似、標準タイプのiPhone 11が同12標準タイプ2モデル価格の$699、$799に分解され、ハイエンドのiPhone 11 Proの2モデルが同12 Proの2モデルに進化し、いずれも同一の製品価格となった。新製品の特長としては、5G対応、カメラに7枚レンズを使用、iPhone 11と比べて4倍もの耐落下性能を誇るセラミックシールド採用のカバーガラス搭載、そして製品が薄く軽く(11より厚さ11%減、重量16%減)なった。つまり、iPhone 12は製品が進化した一方で、iPhone 11の製品価格帯を維持した形といえる。

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ディスプレイには、標準タイプ2モデルでもフレキシブルOLEDを採用し、パネル解像度とPPIが6.1インチLCDの326ppiより大きく高精細化 (ハイエンドと類似のPPI、458-476ppi) した。ディスプレイの観点からは、フレキシブルOLEDと高価なカバーガラスを採用したにもかかわらず、iPhone 11と類似の製品価格を維持できたことは意外である。ハイエンドのPro2モデルと標準タイプ2モデルの価格帯を比較すると、標準タイプの製品仕様がそれほど見劣りしない点からも、標準タイプ2モデルは戦略的に$100程度低価格に設定したものと筆者は捉えている。

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でも述べたが、iPhone 12の6.1インチサイズは、LGDがメインベンダー、BOEが年末までに少量供給の可能性があることから、オンセルタッチパネル (SDC名ではYOCTA) とCOP (チップオンプラスチック) のドライバーICではなく、外付けのアドオンタッチパネルとCOF (チップオンフィルム) のドライバーICを採用している。6.1インチサイズの標準モデルは、LGDの供給だけでは足りないため、SDCのパネルも採用する必要がある。従って、SDCの6.1インチサイズも、ハイエンドのPro向けとともに上記のLGD仕様 (アドオンタッチとCOF (*1) ) に合わせている。SDCの6.1インチはProモデル向けでは独占供給であるが、標準モデル向けに対しても、BOEが量産供給できるようになるまでは、SDCがセカンドベンダーとして供給される。2021年モデルの「iPhone 13」では、全てのフレキシブルOLEDがオンセルタッチパネルとCOPのドライバーICを採用することが期待される。

さて「売れ筋モデルがどれか?」を考察してみると、標準タイプの6.1インチiPhone 12が最も売れ筋となりそうだ。最安値の5.4インチモデルより$100の割高にとどまることと、最安値の5.4インチサイズは最近のスマートフォンとしてはやや小さすぎると捉えるユーザーが比較的多そうだ。(その一方で、DSCC調査によると、最安値の5.4インチモデルがどれだけ売れるのかも、競合ブランドからは注目されている。)

DSCCの最新刊 Quarterly OLED Shipment Report に掲載されたパネル出荷データも参考にした、筆者独自のモデル別販売シェア予想 (2020-2021年) は、

 12 Mini (5.42インチ):25%
 12 (6.06インチ):35%
 12 Pro (6.06インチ):20%
 12 Pro Max (6.67インチ):20%

となり、前述の通り、6.1インチiPhone 12が最も高いシェアになるとみた。

(10月16日 15:50版) *1訂正

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本記事の出典調査レポート
Quarterly OLED Shipment Report

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Written by

Yoshio Tamura

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