iPhone向けパネルメーカー勢力図の展望

Published October 2, 2020
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第32回 DSCC田村のFPD直球解説 (電子デバイス産業新聞)

シャープがジャパンディスプレイ (JDI) 白山工場を取得したことで、アップルiPhone向けディスプレイの供給量が変わる。液晶モデル向けについて、シャープは2021年に供給増に転じてその後も量を維持する一方、JDIの減少傾向が見込まれる。

シャープの白山取得を詳述すると、シャープは建屋とクリーンルーム、アップルが主要製造設備をそれぞれJDIから取得した。シャープは6Gで月間2.6万枚のLTPS製造能力を手に入れたことになる。

これに伴い、シャープはこれまで6G亀山第1工場 (K1) で生産していたiPhone用を白山に移管する。シャープは過去4.7インチなど小型サイズの供給が中心だったが、最近は6.1インチの供給を増加させている。これで空くK1の生産能力を数年かけて自動車用、iPhone以外のスマートフォン (スマホ) 用が半々の生産比率となるように埋めていく方針だ。

JDIはiPhone用の供給シェアが下がることになるが、スマホ用の売上構成比を7割から5割に下げていく経営戦略をとっており、これに則った動きといえる。これにより、2021年にはiPhone液晶モデルの供給シェアでシャープがJDIを逆転し、2022年にはシャープが約6割、JDIが約4割になると予想される。

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ちなみに、シャープは将来的に白山でマイクロLEDディスプレイの量産も視野に入れているが、この開発・量産化をアップルが資金面で支援するという動きは現在のところない。

その一方で、アップルは2020年以降の新モデルの大部分を有機ELでラインアップする予定だが、有機ELのサプライヤーには中国BOEが参入してくる。認定の取得に手間取っているが、早ければ2020年の新モデル向けに9月末から量産に入り、10-12月期にも供給を始めるという話が出ている。

仮に今回認定が取れなかったとしても、2021年モデルには間に合うとの見方が強く、今後はアップルの望みどおり、有機ELモデルのサプライヤーはサムスンディスプレイ (SDC)、LGディスプレイ (LGD)、BOEの3社になる。BOEはまず成都B7でセル、綿陽B11でモジュールを生産し供給するが、2021年以降は綿陽で集中生産する。

BOEの供給増とLGDの歩留まり向上で、SDCは今後も供給量をそう大きく増やせないが、技術面や歩留まりに依然優位性があるため、有機ELモデルでの供給シェアを高いまま維持できるだろう。

(10月2日 14:00版)

本記事の出典調査レポート
Quarterly OLED Shipment Report

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Written by

Yoshio Tamura

tamura@displaysupplychain.com