AGC韓国亀尾のディスプレイ用ガラス基板工場で爆発事故~第2四半期もLCDガラス基板需給タイトの可能性

Published February 2, 2021
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田村喜男の視点

2020年9月のコーニングの中国合肥工場、12月の日本電気硝子の高月工場でのディスプレイ用ガラス基板工場トラブルに引き続き、AGC韓国亀尾のAGCファインテクノでも1月29日に爆発事故が起こった。今回の事故によるガラス需給への影響は、直近の2021年第1四半期ではなく、第2四半期以降に出てきそうだ。日本電気硝子のトラブルによる需給への影響は直近第1四半期、AGCのトラブルによる影響がある場合は、第2四半期の需給ということになる。今回のトラブルにより、2021年第2四半期から量産出荷予定であった窯が、数か月先延ばしとなりそうとのことである。

今回の爆発事故の窯は、定期修理 (定修) 中であったものを2021年第2四半期から量産出荷開始させる計画で、第8.5世代や10.5世代向けに立上げようとしていた窯の可能性がある。AGCの同韓国工場の大部分は、韓国向けは少量で、中国LCDメーカー向け輸出となっている。同韓国工場には計4窯程度が存在、定修中の1窯を立ち上げようとしていたものであるのであれば、現状のAGCの総生産能力が減少するのではなく、2021年第2四半期からの増産のタイミングが数か月先延ばしされる可能性があるということになる。

AGC社の中国顧客はChina StarとHKCが大部分であり、今回の窯はChina Star向けの増量がメインであった可能性が高い。しかし、China StarはAGC社の最有力顧客であるため、優先供給される可能性もある。世界各国ガラス基板工場からのサプライチェーンを変更する可能性があることも考慮すると、China Starよりもむしろ他のHKCや台湾メーカーなどにも影響が及ぶ可能性があるものと見込む。

最後に、同事故の詳細は発表されてない模様であり、あくまでも現時点までの情報をもとにした筆者の分析である。

2月2日午前
田村喜男

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Written by

Yoshio Tamura

tamura@displaysupplychain.com