米国の“巣ごもり特需”でTV世界出荷台数が5月に急回復

Published July 8, 2020
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田村喜男の視点

新型コロナウイルスの影響で2020年の世界TV出荷台数は前年比9.6%落ち込むと当初DSCCでは予想していた。しかし、最新の月別TV出荷台数調査 Monthly Global TV Shipment Report によると、2020年第1四半期 (1-3月) は前年同期比11.3%減少、4月は同17.6%減であったものの、5月に同1.4%減まで急回復している。5月は米国に加え中国も復調しプラス転換したことが大きく寄与している。このような想定以上の需要急回復に対応して、大手ブランド各社はパネル購買を増加させており、6月にはパネル価格が上昇に転じた。一方、巣ごもり特需の継続性、新興国需要の下振れ懸念、などのマイナス要因にも注目していく必要がある。

地域別にみると、北米における2020年第1四半期月別TV出荷台数は前年比10.3%減であったが、4月は同7.1%増、5月には同16.2%増と急増。この背景には政府からの給付金と#StayHomeムーブメントによる“巣ごもり特需”が、米国で大幅に増加したことが挙げられる。特にリビングルームに設置される大型TVではなく、一人一台として、各部屋に設置される32-43型サイズの中小型TV需要が増えている。米国ではTVが品薄状態になっているとの情報もある。中国では、今年第1四半期は同30.6%減と大幅に減少したが、4月は同14.0%減、5月には同5.3%増と米国に続いてプラスへと転じた。広東省では4K-TVを購入すると5%の補助金が出る制度も5月から実施されている。一方、西欧は新型コロナウイルス感染が急拡大した3-4月は同30%以上も減少した。そのため、5月は同15.2%減と回復の兆しは見られるものの、厳しい状況が続いている。また、南米では今年第1四半期は同2.4%増であった。しかし、4月から感染が急激に拡大した影響で、4~5月には同36.8%減、28.1%減と急減している。

2020年下期の予測は依然として不透明であるが、いくつかのポイントがあげられる。好調な巣ごもり特需はいつまで引き続くか?言い換えると、巣ごもり特需が年末需要を先取りしていることが懸念される。コロナウイルス感染者の急増によって、インドや中南米など新興国需要の悪化は第3四半期も継続する見込みである。以上、ブラス要因マイナス要因を加味した結果、DSCCとしての2020年世界TV市場予測は、前年比-9.6%から-7%に上方修正することになった。

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Written by

Yoshio Tamura

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