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FOR IMMEDIATE RELEASE: 06/11/2025
LCD需給が反転、5月より工場稼働率調整
日本支社長 兼 グローバルVPアナリスト 田村喜男Counterpoint Research FPD部門 (東京) -
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第88回 Counterpoint Research 田村喜男のFPD直球解説 (電子デバイス産業新聞)
米トランプ政権の関税政策に備え、FPD業界では2024年12月から液晶パネルメーカーの工場稼働率が高い状況が継続してきた。これは、言うまでもなく、関税の影響を避けるため北米向けの納入を前倒ししようとした動きであり、液晶を中心にパネルへの旺盛な需要が続いてきた。
好調な需要に伴い、パネル価格も断続的に上昇した。当社の調べによると、12月から3月までの4カ月間で、85インチは12ドル、75インチは9ドル、65インチは6ドル、55インチは4ドル上昇した。中国が実施した家電の買い替え補助金の効果もあって、大型サイズが相対的に好調だった。この影響でミニLEDバックライトを搭載した液晶テレビがよく売れ、LRフィルムを搭載した高透過率のハイエンドモデルも好調で、関連する部材の需要も一部でタイトになっている。
だが、5月に入って、いよいよ様相が変わった。トランプ関税発動に備えて、これまで前倒しでプルインしてきた調達が息切れし、工場稼働率に調整が入り始めたのだ。4月の平均稼働率は87%だったが、5月は82%まで下がったとみられる。なかでも中国CSOTとBOEは12月から4月平均の90%から80%程度に稼働率を抑制。6月についてはこの水準を維持するか、若干戻すかという状況になっている。
パネル価格も5月から水面下で下がり始めた。6月も下落する見通しにあり、さらなる下落を食い止めるためにパネル各社が稼働調整を始めた段階にある。そもそも例年は1-3月期がパネル出荷のボトムになるが、本年の同時期出荷は異例すぎた。当社では、このまま稼働率や価格が毎月下がり続けることはないものの、下期は稼働調整が続く「下期低迷型」の流れが避けられそうにないため、下期の稼働率見通しを従来予測から下方修正し、80%レベルまで引き下げた。
トランプ政権の関税政策はまだ不透明なところが多く、先を予測するのは難しい状況だが、中国産FPD最終製品の店頭価格は少なくとも10-15%程度の値上がりが避けられず、パネル需要の見通しに悪影響を及ぼすと考えている。すでに1-3月期時点でスマートフォンなど中国からの輸出が減っているというデータも出ており、今後の関税率次第では米国需要のさらなる悪化も懸念される。
前記のような工場稼働率や価格動向も反映して、現時点で当社は2025年のパネル面積需要について、当初の想定からテレビ用で1%減、IT用で4%減、パネル面積トータルでは2%減と予測している。メキシコでの生産量が多い米国向けテレビはUSMCA (米国・メキシコ・カナダ協定) によってそれほど大きな影響を受けず、中国生産が多いIT用のほうがマイナス幅が大きくなる。ただし、テレビはFPD需要面積の70%を占めるため、テレビ用の減少が全体に与える影響度はかなり大きくなる。

※5月下旬のインタビューに基づきます。
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