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FOR IMMEDIATE RELEASE: 09/07/2023


緩み始めたFPD工場稼働率
DSCC アジア代表・田村喜男

DSCC Japan (東京) -

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第66回 DSCC田村喜男のFPD直球解説 (電子デバイス産業新聞)

春先から稼働率の上昇が続いてきたFPD工場だが、8月半ばに潮目が変わって緩み始め、一転して稼働調整の様相を呈してきた。9月は良くて横ばい程度の操業が見込まれ、7-9月期で見ると当初の想定どおり稼働率は1-2%下落しそうだ。

テレビ用液晶パネルは春先までに市中在庫の処分が進み、3月ごろから値上がりが一気に進んだ。65インチの場合、1月に112ドルだった価格は、4月に133ドル、5月に145ドル、6月に155ドルへと上昇した。これにより液晶テレビ用パネル事業において中国大手各社は4-6月期に黒字化したとみられる。

だが、7月は162ドル、8月は168ドルと上げ幅がやや緩やかになった段階で、中国メーカーが稼働率を抑制し始めた。特に、これまで最も高い稼働率で操業していたTCL CSOTが率先して調整に動いており、G10.5、G8.5ともに8月半ばから操業度を落とした。

パネル価格がまだ上昇局面にあり、しかも黒字を確保できているなかで、中国メーカーが稼働を緩めるのは極めて異例のことである。これまでは勢いに任せて大量の見込み生産を行うケースがほとんどだったが、現在は受注に応じた生産に抑えようという意識が強く、慎重になっていることがうかがえる。コロナ後の価格下落がそれだけ苛烈だったという証左だろう。

4-6月期の工場稼働率は業界平均で90%近くまで上昇した。当初は7-9月期で90%程度を計画していたが、90%を若下回る見込みだ。以後、年末に向けて緩やかに下落し、10-12月期の平均は85%を割り込む水準になる可能性がある。

こうした中国メーカーの慎重な姿勢の背景にあるのが、依然として弱い実需だ。コロナ禍が明けて個人消費がモノ消費からコト消費へ移行するなか、中国の618商戦でテレビの販売台数は前年比で2桁減に終わった。一方、販売金額は横ばいとなったが、これは価格下落によって75インチ、85インチといった超大画面テレビが良く売れたためで、これにより平均サイズの大型化は継続した。

しかし、大半のテレビブランドがパネル価格の上昇期間中に在庫を積み増し、テレビ首位のサムスンビジュアルディスプレイもパネル調達を抑制し始めた。在庫調整はいったん終わったが、再度増加し始めた。景気の浮上感は感じておらず、これがパネル各社の早期調整につながっている。

今後は、パネル価格が再び激しい下落に直面しないように、パネル各社が稼働調整をうまく継続することができるかが焦点となる。季節需要が持ち直してくる来春まで、細かな稼働調整で価格を維持し、黒字を確保し続けることが、パネル各社のテーマとなりそうだ。

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