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FOR IMMEDIATE RELEASE: 05/09/2023


底入れ感が強まるIT用パネル~G5.5以下工場の再編機運が高まる
DSCC アジア代表・田村喜男

DSCC Japan (東京) -

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第62回 DSCC田村のFPD直球解説 (電子デバイス産業新聞)

2月から値上がりに転じたテレビ用液晶パネルに続き、IT用パネルにも底入れ感が強まってきた。ノートPC用の価格はまだ横ばいだが、モニター用は4月に一部のサイズでごくわずかながら値上がりに転じた。テレビ用の価格上昇率が5月から鈍化し、その後ピークアウトしていくことを考えると、IT用の上昇も長続きしない可能性があるが、年央には市中在庫を含めて需給バランスが正常化しそうだ。

テレビ用のサプライチェーン在庫は3~4月でおおよそ正常化した。G10.5工場は、5~6月には稼働率を80%台に落とすと想定されるが、一時は90%以上にまで引き上がり、稼働率の急上昇に伴って偏光板などの部材供給が一時的に追いつかないという状況も見られている。

一方で、2022年のIT市場は過去最低レベルに冷え込んだ。主要PCブランドのノートPC出荷実績はいずれも前年比で20%以上の台数減少となり、アップルのみがなんとか微増を維持するという状況だった。有機EL搭載モデルもかなりの数が発売されたが、高額なため販売が低迷した。

こうした状況から、パネル各社はG10.5をはじめとするガラスサイズの大きいラインから稼働率を上げ始めており、その影響はG8.5、G7.5、G6ラインにも徐々に及びつつある。IT用の価格が上昇し始めた背景には、パネル各社がテレビ用の生産にラインを振り向けたことも一因であろう。

ただし、価格の反転を手放しでは喜べない。実需自体はいまだに決して強くないからだ。主要PCブランドの2023年出荷台数は、いずれも10%程度の減少になると見込まれている。本年はアップルも例に漏れずマイナスになると予想されており、消費者の購買意欲が戻ってきたわけではない。

このため、かつてはIT用の主力生産ラインだったG5.5以下の工場を再編する機運が高まっている。台湾では「イノラックスがG5.5以下の工場を閉鎖する」と報じられた。これに対して、イノラックスは「全社的な生産効率を最適化するため、G5.5のファブ4の生産品目は他のラインで調整する」とコメントし、再編を検討していることを匂わせた。

こうした動きはイノラックスにとどまらない。AUOはL5A工場をマイクロLEDの生産拠点に再編することを検討中で、同ラインで生産していた液晶は他のラインに移管する。また、CECパンダは唯一保有していたG6工場の稼働を1~3月期に休止したほか、LGディスプレーも4~6月期中にP6工場(G6)の稼働を停止する見通し。つまることころ、G6以下のアモルファス液晶の生産はいずれも厳しい状況に追い込まれているといえる。

ちなみに余談だが、こうした景況下にあっても、アップルは2024年から12.9インチのiPad Proに有機ELを採用する。11.1インチモデルにも採用する可能性が高く、当初のスケジュールを変更しない考えのようだ。

(DSCCアジア代表 田村喜男)

※本記事中の企業名・用語などは電子デバイス産業新聞様の掲載基準に沿っています(大文字表記など)。

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