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FOR IMMEDIATE RELEASE: 01/31/2022


2022年のFPD設備投資動向
DSCC アジア代表・田村喜男

DSCC Japan (東京) -

第47回 DSCC田村のFPD直球解説 (電子デバイス産業新聞)

2022年のFPD設備投資は、インストールベースで前年比25%減の126億ドルになると想定している。中国企業の本格参入でIT用LCDの大型化とコモディティー化が進む一方、OLEDではG6からG8.5へ大型化が始まり、「投資のOLEDシフト」がいよいよ強まりそうだ。

LCDでは、G10.5のBOE武漢第2工場が決定するか注目される。新型コロナからの復興を企図した計画でもあり、月産12-15万枚が最大供給能力であったが、その投資決定は2023年以降、量産開始は2025年の見通しである。CSOTはG8.5の広州T9について月産8万枚の増設を年央から年後半にも発注する可能性がある。ただし、第1期として月産10万枚分の投資を2021年下期に発注済みであるため、BOE武漢第2工場と同様に、その増設決定が先送りされる可能性は低そうではあるが、要注視である。

HKCもH2工場のG8.6で月産10万枚分の増設を検討中だが、上記のBOEやCSOTほどは具体化していない。さらに、天馬微電子がITや車載用などをターゲットにしたG8.5工場の新設を検討しているが、判断がなされるのは2023年になるとみられる。

2021年夏からTV用のパネル価格が大きく下落しているため、LCD投資はいずれもプロジェクトが遅延する可能性が懸念される。BOEのG10.5投資はTV用だが、3社いずれも全社的なIT用の増産を意図した計画であるため、今後はモニター用の大型化とIT用のコモディティー化、そして低価格化が加速すると見込まれ、IT用の比重を増してきた台湾・韓国勢にはさらなる差別化戦略が求められる。

このほか、AUOがG6でLTPSとG8.5アモルファスを増強しており、台湾勢として久々の増産となる。

一方、OLEDでは、IT用を狙ったG8.5の大型案件が具体化してくる。サムスンディスプレー (SDC) は、休止するLCDのL8ラインをG8.5フルサイズのRGB塗り分けOLEDラインに転換する計画で、2022年前半に装置を発注する見通しとなっている。縦型蒸着とIGZOバックプレーンの採用を検討しており、2023年にも2ライン目の整備を計画中だ。ただし、G8.5ハーフ (G8.5H) の水平蒸着を選択する可能性も残している。これに伴い、大型OLEDとして月産3万枚分を整備済みのQD-OLEDについては、さらなる増強を見送るもようだ。

SDCの動きにライバルも追随する。LGディスプレー (LGD) もG8.5HでRGB塗り分けOLEDラインの新設を検討中で、蒸着装置には韓国SUNIC社製を採用する。BOEは、G6ハーフ (G6H) のフレキシブル4工場目として整備予定だった福州B15を成都G8.6Hに変更する見通し。B15では2020年までWOLEDの投資も検討していたが、IT用RGB塗り分けOLEDライン投資に計画を大きく修正してる。

G6Hでは、LGD坡州のフレキシブル第3&第4ライン新設、SDCのA4に2ライン追加といった増強案件があるものの、中国勢は整備済みラインの稼働率、歩留まりや収益性がいまだ低く、補助金確保が難しくなってきており、さらなる増強計画をほぼ凍結している。実際、CSOTはT5のG6HフレキシブルOLEDをLTPS LCDに変更している。

(本稿は、1月上旬「電子デバイス産業新聞」のDSCC連載記事を基に、1月31日に田村が再確認・一部改訂したものです)


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