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DSCC ニュースレター

​ディスプレイ業界のニュースを日本語にてお届けしています。News Letter関連記事はWeekly Reviewに毎月掲載​​

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量子ドット (QD) ベンチャーのNanoco (ナノコ)が売却へ
Nov. 19th, 2019
  量子ドット(QD)技術を開発する英ベンチャーのNanocoグループの取締役会は同社の売却について第三者機関と話を進めている事を公表した。
Nanocoはディスプレイ及び赤外線センサー市場に特化しており、同社の材料やサービスの新しい潜在顧客とも話合いを続けているという。過去、Nanocoはメルクやデュポンのようなディスプレイ業界の大手材料メーカーとライセンス契約を結んでいる。しかし、取締役会はそれら以外に売却を含め、出資者を探しているという。
  Nanocoは2019年7月期の財務データを公表しているが、9.1百万ドルの収入に対し、5.7百万ドルの赤字であった。更にNanocoの米国の顧客企業(恐らくApple)との研究開発契約は2019年末に終わる予定である。Nanocoは2019年末時点のキャッシュを7.6百万ドルと予想しているが、売却プロセスに生ずるであろう出費をそれでカバーし、結果的に売却を成功させたい意向である。
  Samsung、Nanosys、およびTCL /中国の大学と同様、Nanocoは重要なQD関連のIPを保有しており、同社は下記について300件の成立特許または特許出願があると述べている。
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  • 独自の大量生産プロセス
  • カドミウムを含まないQD材料
  • 表面化学技術
  • QD材料を組み込んだアプリケーション
  自社技術のIPに加え、Kodakから一連の特許を購入している。NanocoのQD関連IPは、Samsung、Nanosys、TCL/中国の大学間で今後発生可能性のあるIP紛争に有効である可能性がある。そもそも、同社の材料の販売はまだ本格的に開始されていないため、Nanocoが買収された場合、それはNanocoのIPの価値の部分が大きいといって間違いない。QD関連IPについては下記の状況である:
  • NanosysとNanocoは、2009年にNanosysが保有する5つの独創的なQD関連特許を侵害したと主張する特許訴訟に2009年決着をつけている。
  • 今年、Nanosys、Nanomaterials、Nanofabrication Crystal間で訴訟があった。これは、中国企業のNN CrystalとNN Labsを設立した中国のXiagang Peng教授が率いており、 NN CrystalはNanosysに対して、QD製造プロセスについて特許侵害訴訟を起こしている。

  DSCCは2月にこの訴訟についてNanosysのCEO Jason Hartloveから次のコメントを得ている。「NanosysはNN Crystalの主張には根拠がないと考えており、この訴訟に対して積極的に抗弁する。NanosysはQD技術とその素材のリーディングプロバイダーとして、世界最大のQDポートフォリオを保有している」
  Samsungは2016年12月にQD Vision買収で、そのIP(250件の特許出願および商標)を約7,000万ドルで取得している。この時の売却時のアドバイザーはEvercore (投資顧問)であり、今回NanocoもEvercoreを使っている。当然、QDEF、QDOG、QD-OLEDといったQD技術を重要視しているSamsungがNanocoの買収に意欲的に取り組んだとしても不思議ではない。今後のQD関連のIP争奪の行方に目が離せない。
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SamsungがSDC2019でクラムシェル型フォルダブルスマートフォンの新モデルを公表
Nov. 12th, 2019
  Samsungはシリコンバレーで10月29日に開催したSDC2019 (サムスンデベロッパーカンファレンス2019)で、フォルダブルOLED採用の最新のクラムシェル型スマートフォンのコンセプトについて公表した。
  Samsung モバイルコミュニケーションズ R&Dグループ フレームワークヘッド VPのSally Hyesoon Jeong氏は次のように述べた。「Galaxy Foldに始まり、今回の新モデルはイノベイティブな全く新しい経験を提供するフォームファクターである。我々は、”ユーザーがフォルダブル画面を広げる”という経験を提供している。ユーザーはスマホで、十分なスペースで作業や楽しみを得ることができる。しかし、それより明らかなフォルダブル技術の利点はコンパクトに折り畳めることである。この全く新しいフォームファクターはユーザーのポケットに入るだけでなく、ビデオや写真を撮る時でも、携帯電話の使い方を変えてしまうものだ。」
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新しいクラムシェル型フォルダブルモデルはプロテクトフィルムを提供するDOWOO InsysでラミネートされたSchott製超薄型ガラスを採用している、とDSCCでは認識している。折りたたみ半径は非常にタイトで、ガラス採用としては非常に上出来な1.5から2.0mmの曲げ半径と見込まれるが、SDC2019で言及はされなかった。おそらく折り目が残ることはなく、より、スクラッチやダメージに耐久性のある仕様となっている。
  新モデルは6.7” FHD+ のディスプレイで$1,500前後の価格で販売される予定である。未だ商品名は無いものの、2020年のCESにて展示され、2月のMobile World Congressにて発売開始となると予想される。一方、Motorolaのクラムシェル型スマートフォンは今月発売予定である。
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TCLがMiniLED TV「8シリーズ」でプレミアムTV市場参入へ
Nov. 1st, 2019
  TCLは、MiniLEDバックライトとQD (量子ドット) ならではの色再現性を備えたフラッグシップの8シリーズTV製品を米国で発売した。8シリーズは今年一杯はBest Buyでのみ販売する。
  TCLの2019年 プロダクトラインには、4、5、6、および8シリーズの4つの製品群がある。 6シリーズと8シリーズは量子ドットフィルム(QDEF/ Quantum Dot Enhancement Film)を採用し、Samsungの商標QLEDを使用しているが、8シリーズはMiniLEDバックライトを採用した世界初のテレビとなるかもしれない。
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TCL 8-Series TVs
 TCLはこの8シリーズでSamsung、LG、Sonyが独占するプレミアムTV市場へ手を掛けたことになる。LGの77” OLED TVは$4,999~となっているのに対し、8シリーズの75”は$2,999である。「シネマティックな映像/オーディオでこの価格を実現しているTVは殆ど無い」と北米TCLのシニアバイスプレジデント クリスラーソンは述べている。
  一方、米中貿易戦争の影響についても「昨今のサプライチェーンにおける悩みの種である。これは明らかなコスト増となる。もっとも、米国で販売されている殆どのTCLテレビは、メキシコのティファナにあるTCLの工場で組み立てられている。また、小型のテレビはベトナムから輸出している」とラーソンは言っている。
  TCLはメキシコのシウダーフアレス(Cudad Juarez)にある旧トムソンの工場をテレビのアセンブリ拠点として追加する。これにより、北米および中米の需要の高まりに対応できるようになるであろう。
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ディスプレイ 設備投資額
- 2019年の
26%減から、2020年は31%増へ -

Sep. 25th, 2019
 ディスプレイ設備投資額(各社決算発表ベース)と製造装置投資額(DSCC調べ)のQ2’19実績は前期比増であったが、ディスプレイ製造装置メーカー世界大手22社(大部分は各社決算発表ベース)の総売上高では前期比減となった。 これはChina Star、HKC、Sharp Chinaなどの設備投資額データを公開しない企業に起因する投資タイミングの違いとみている。 この3社は、Q2’19のディスプレイ設備投資額のうち約50%を占めている。Q3’19の製造装置投資額(DSCC調べ)はQ2’19から半減程度に落ち込むと予想している。
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図1: ディスプレイ設備投資・製造装置投資額・製造装置メーカー売上高の比較
 ディスプレイ製造装置メーカー大手22社のQ2’19総売上高は、前期比4%減となった。 これはQ2’16年以来の最低値であり、4四半期連続の減少となっている。そして、Q2’19は、Q1’19から2期連続で、前年同期比25%以上の減少となった。この製造装置メーカーQ2’19売上高は、世界の投資額のトレンドとは相反しているため、Q3’19は増加する可能性がある。
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図2: ディスプレイ製造装置メーカー22社の売上高(大部分は各社決算発表ベース)
 Q2’19では、フレキシブルOLED用蒸着装置をBOEに納入したキヤノンが、ニコン、AMAT、TELを抜いてトップに立った。上位5社で65%のシェアを占めており、参入メーカー多い市場ではあるが、シェアとしては上位傾斜型の傾向がある。2019年上半期計(Q1+Q2)では、AMATが引き続き市場をリードし、キヤノンとニコンが続く。
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図3: ディスプレイ製造装置売上高 四半期別マーケットシェア (大部分は決算発表ベース)
 2019年のディスプレイ製造装置投資額は、OLEDが64%減、LCDが23%増、総じて26%減の155億ドルとなる。LCD向け投資額は2019年の全投資額の72%を占めている。用途別では、TV向けが91%、モバイル向けが9%、とTV向けが圧倒的なシェアとなっている。
 2020年は前年比31%増の203億ドルに回復する。LCDとOLEDは50/50である。LCDは2019年から9%減少し、OLEDは中国の新しいモバイルOLED工場投資で132%増となる。用途別製造装置投資額のモバイルのシェアは40%に跳ね上がると予想している。
 2021年は前年比48%減の105億ドルになり、OLEDが75%のシェアを占める。 OLED向け投資額は前年から22%減少、10.5世代投資計画が見えないLCDは2020年の102億ドルから26億ドルに74%激減すると予想している。 2021年以降のLCD投資は終息していく方向となっている。
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図4: LCD/OLED別製造装置投資額予測
 2016-2018年の過去3年間はモバイル向け投資が主流であったが、TV向けはLCD10.5世代に加えて、WOLED、QDOLED、RGB IJP OLEDなどさまざまなタイプのOLED TV技術への投資に拍車がかかり、2019-2020年の2年間はTV向け投資が牽引していく。
第4回DSCC JAPANセミナーでは、ディスプレイ主要製造装置のメーカーシェア、ディスプレイ設備投資動向のメーカー別、などに関しても解説する。↓
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フレキシブルOLEDのパネル生産能力
Sep. 10th, 2019
 2019年9月5日配信のDSCCニュースレターでは、電子デバイス産業新聞掲載の「フレキシブル有機ELの投入能力」を紹介した。その基板投入能力見通しにおいては、「2018年以降、フレキシブルOLEDの供給能力で競合他社に圧倒的な差をつけてきたSamsung Displayに対して、中国のBOEが今後2022年に向けて急追していく(図1)」ことがポイントであった。
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図1: フレキシブルOLEDの基板投入能力
 今回は「フレキシブルOLEDのパネル生産能力」見通し(図2)をベースに解説する。グラフより明白なのは、Samsung DisplayやLG DisplayのフレキシブルOLEDパネル生産能力が減少していくことである。このような減少は、より大面積のフォルダブルパネル生産の増加を見込んだからである。
 Samsung DisplayのフレキシブルOLEDパネル生産能力は、2019年の3億枚レベルから2022年には2億1千万枚まで減少する。一方、2022年におけるSamsung Displayの4,500万枚のフォルダブルパネル生産能力(IT用も含む)を全てスマートフォン用フレキシブル生産に切り替えると、2022年でも3億枚の生産能力となる。
 Samsung Displayの2019年フレキシブルOLEDパネル出荷見込みは1億5千万枚、Apple iPhone、Samsung Galaxy、その他スマートフォン、スマートウォッチ向けが、それぞれ6,500万枚、6,400万枚、1,100万枚、1,000万枚の見込みである。2022年の見通しとしては、Apple iPhone、Samsung Galaxy、その他向けで、それぞれ9,000万枚、7,000万枚、2,000万枚の総計1億8,000万枚を確保できれば、85%稼働率まで回復させることが可能となる。
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図2: フレキシブルOLEDのパネル生産能力
4回DSCC JAPANセミナーでは、上記のようなフレキシブルOLED需給バランスの今後のシナリオ、をSamsung DisplayやBOEなどに焦点を当てて解説する。↓
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フレキシブルOLED韓国vs.中国生産コスト比較:2020年には同等に
Aug. 27th, 2019
 DSCC Quarterly Smartphone Display Cost Reportでは、稼働率予測に基づいてコスト分析を行っている。各コスト分析における生産ライン稼働率の予測は、最新の需給バランスに基づいて作成している。特にフレキシブルOLEDは供給過剰により、低めの稼働率でしばらく推移するものの、需要の増加につれて徐々に改善する見通しである。
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図1: OLEDライン稼働率 (2017 – 2023)
 1H19のSamsungのフレキシブルOLEDの稼働率は30%台であったが、需要増加により2H19の稼働率は60%以上まで回復し、収益は大幅に改善するであろう。
 韓国生産における6.47”FHDパネルのコスト分析(図2)を見ると、パネル生産歩留まりが80%以上に達している韓国生産のコストは、中国生産でのコストより低くなっているが、稼働率によって大きく変動もしている。中国生産での6.47”FHDパネルコスト分析(図3)では、2018年から2019年にかけてのパネル生産歩留まりが50%以上に向上してきている。しかし、中国生産は政府からの補助金により減価償却費を低減できる。その結果として、パネル生産歩留まりとライン稼働率がある程度まで向上することにより、パネル総コストを低減できる。
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図2: 韓国生産 コスト推移 6.47” FHD+ パネル (2018-2020)
 2020年(図2, 図3)において、韓国生産、中国生産でのライン稼働率は、需給バランス分析により、ともに61%と想定している。パネル生産歩留りは、韓国 vs. 中国=85% vs. 70%程度、と推定している。その結果、中国生産による総パネルコストは2020年で韓国生産に匹敵する見通しとなった。先端技術を採用している韓国に対して、中国の材料費は当面は割高であるが、低い減価償却費と人件費によりその割高分を相殺している。中国生産における利点は、政府からの補助金、韓国の5年償却に対して中国は7年償却を採用、の2つのポイントが挙げられる。これが、中国生産の低い減価償却費として反映されている。
 最新のSmartphone Display Cost Reportでは、図2,3のようなOLEDの他、Samsungの2モデル目にあたるクラムシェル型フォルダブルフォン6.7”ディスプレイなどのコスト分析も行っている。更に、2020年にiPhoneラインアップで予想される3つの新製品(5.42”/6.06”/6.67”)のフレキシブルOLEDコストモデルを含めている。これらの新モデル向けパネルは、フォースタッチからYOCTAへのタッチパネル切り替え等により、パネルコスト低減が可能になる。
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図3:中国生産 コスト推移 6.47” FHD+ パネル, 2018-2020
上記情報/データ出所: DSCC Quarterly Smartphone Display Cost Report
第4回DSCC Japanセミナーでは、中国のディスプレイ搭載品生産・出荷動向について詳細分析を披露する↓
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米国のディスプレイ搭載品の中国からの輸入、1H19までは減速無し
Aug. 20th, 2019

   先週更新された米国国際貿易委員会(US ITC)の統計データによれば、主要なディスプレイ搭載品における米国の中国からの輸入は、減速することなく2019年上半期を終えた。 ディスプレイ業界は未だ米中貿易戦争に見舞われていないものの、ディスプレイを搭載した主要な電機製品(TV以外)は、最新の発表によれば12月15日(8月13日の延期発表以前の予定では9月1日)から10%の関税が課せられる。しかし、TVはその延期対象にならず、9月1日から関税が課される予定である。
    TV、モニター、モバイルPC(ノートブックおよびタブレットを含む)、および電話(携帯電話・スマートフォン含む)のカテゴリーではすべて、中国から米国への大量の輸入がある。2018年から2019年上半期にかけて、電話以外全てのカテゴリーで、中国からの輸入は増加している。一方、電話のカテゴリーでは、中国からの輸入は数量と金額の両方で減少し、ベトナムからの輸入が大幅に増加し、中国輸入を補った形である。中国輸入の数量シェアは、1H18の80%から1H19年には73%に減少し、輸入額も同様の減少を示したが、逆にベトナムからの輸入シェアは9%から18%に急増した。
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米国の輸入国別電話輸入数量(2018-2019)
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米国の輸入国別電話輸入金額(2018-2019)
 電話カテゴリーにおける中国から輸入は、それでも出荷の大半を占めており、2020年には関税適用の影響を受ける可能性がある。グラフが示すように、電話の輸入は特にQ4の需要が強い スマホは中国からベトナムへの生産シフトが見られるが、PC関連製品であるモニターとモバイル PC(ノートPCとタブレット)は、中国が圧倒的な輸入元であり、どのアジア諸国もそのサプライチェーンに大きく進出していない。

 モニターでも中国のシェアが大きい点は電話カテゴリーと同様であるが、1H19のモニターの中国からの輸入は、数量ベースで9%増の1,640万台、金額ベースで10%増の$24億、と増加基調である。金額ベースでの中国シェアは数量ベースより低い。1H19を例に見ると、中国からのモニターのASPが$146、一方メキシコは$258であり、高付加価値モニターの輸入がメキシコ等、中国以外の国からが多くなっている。中国からの輸入シェアは近年増加しており、1H19もその傾向が続いている。

 TV数量ベースでは、中国は2017年にメキシコをすでに上回っており、2018年には中国のTV輸入数量のシェアが増加し続けた。しかし、金額ベースでは依然としてメキシコが中国を上回っている。2H18、中国からのTVの輸入台数は1,700万台、金額は$31億強であった。1Hの成長ペースが2Hでも維持される場合、2H19は2,100万台と$40億に相当する。しかし、9月1日以降に輸入されるTVは10%の関税の対象となる予定であり、TVブランドや小売業者が、関税適用前に在庫を増やし、1H19の成長はだいぶ実需を上回っていた可能性が高い。

 1H19の駆け込み需要の影響で、2H19に米国へのTV出荷が減速する見込みである。パネル価格はQ2からQ3で急落し、多くのサイズがキャッシュコスト割れ、史上最低となっている。このような状況下で、米国向け需要が低迷すると、パネルメーカーは更に厳しい状況に陥ることになる。
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米国の輸入国別TV輸入数量 (2017-2019)
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米国の輸入国別TV輸入金額 (2017-2019)
上記情報/データ出所: US ITC, DSCC分析
第4回DSCC Japanセミナーでは、中国のディスプレイ搭載品生産・出荷動向について詳細分析を披露する↓
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有機EL材料市場2018 - 2022年で2倍に成長
Aug. 6th, 2019

   DSCCはQuarterly OLED Material Reportの最新版をリリースした。全てのアプリケーションを含むOLED材料世界市場(売上高)は、2018年の10億3,700万ドルに対して2019年は11億ドルを超え、2022年には20億ドルを上回る(CAGR 17%)と予測している(図1)。
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図1: 用途別OLED材料市場予測
SDIが買収したNovaled(ノバレッド)の公表業績は2017年9,500万ドル、2018年1億2,200万ドルであった。その売上高は全てOLED材料と判断している。NovaledのPドーパント材料(図2ではPDT)の市場は、OLED材料の中で相当額を占める材料の1つとなっている。
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図2: 材料別RGB FMM 中小型AMOLED材料市場予測
WOLED用材料のコストも継続的に改善されていくが、量産・パネル歩留まり改善後のQD OLED用材料コストは、将来のWOLED材料コストよりも低くなる、と予想している。当面計画されているOLED TVパネルへの投資はWOLEDであり、インクジェットOLEDの量産化タイミングは2023年以降になるであろう。インクジェット製法によるOLED性能とコスト双方が改善されることはほぼ見えている。しかし、中小型ディスプレイ用のファインメタルマスク(FMM)、そしてTV用のオープンマスクは蒸着用材料を使用しており、当分は蒸着用材料が引き続きOLED市場のメインで有り続けるであろう。
  2019年のサプライヤ別OLED材料売上高(図3)は、UDCがトップシェア、Merckが2位、Novaledが3位、と見込まれ、これらトップ3の合計シェアは56%を占める。
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図3: 材料メーカー別OLED材料売上予測
上記情報/データ出所: DSCC/OLED-A Quarterly OLED Material Report

Universal Display Expo (UDE)での注目TV技術
July 23rd, 2019

   7月10-12日、上海で行われたUDEではTVの最新技術や商品が展示された。各メーカーのTVが2大技術であるOLED TVと8K QLEDTV、それぞれのスペースに分かれて展示されていた。中でも最も注目されたのはHisense/BOEの65”デュアルセルTVU9Eであった。
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  HisenseはU9Eを65” OLED TVと同価格帯に値付けしており、プレミアムクラスのOLED TVと共にHisenseの強力な販売チャネルで拡販するつもりである。HisenseはOLED TVの供給キャパと価格でLGDにコントロールされるのは避けたいという意図が背景にあるようだ。
  またLaser TVもハイエンドTV技術の一つと位置づけており、LCD TVを含む75”以上の中国TV市場で、同社のLaser TVが50%以上を占めていると述べている。また、88”, 100”の従来Laser TVに加え、75”の低コスト向けRGB Laser を使ったLaser TVを2019年後半に出荷開始するという。
  SkyworthのプレミアムTVは引き続きOLED TVであり、販売プロモーションを行っている。特に代理店や販売スタッフのコミッションを引き下げ、割安な価格で、直接ユーザーに販売するという。Skyworthは低価格化により消費者にOLED TVの価値を実感してもらうことを狙っているが、中国ではプレミアム商品の売れ行きは販売スタッフの手腕による部分もあり、今回の値下げが奏功するかは定かではない。
  SkyworthはLGDから設計の改善及び、更なるコストダウンのため、LGDからセル調達を希望しており、G8.5 OLED TV工場に近い広州工場でモジュールラインを建設予定である。
  他TVメーカーの展示は8Kが多く、量産されていない商品の展示が多く見られた。多くのTVメーカーは2年以上損失を出しており、もはや政府の補助金頼みになっている。TVが売れるか否かというより、多くの補助金を受けるために新しいTV技術を開発しなければならない、という不健全な循環に陥っているのが現状である。

MWC China/Display China 2019のハイライト
July 17th, 2019

  6月26-28日、MWC China 2019 (モバイルワールドコングレス) とDisplay China 2019が中国上海にて同時開催された。ここではモバイルとTVディスプレイについて、展示された技術から3つをハイライトとして取り上げる。

アンダーディスプレイカメラ(UDC)
  Oppoは以前UDC (アンダーディスプレイカメラ)を発表していたが、公式展示は初めてである。UDC技術はSDC、BOE、CSOT、Visionoxなど数多くのパネルメーカーが取り組んでいるが、ディスプレイ含め8%未満という低い透過率が課題である。ChinaStarは、UDC技術に関してOppoと提携したと言われており、開発中のUDCは透過率が約14-15%ということであったが、実際のところ10%以下という話もある。
  Oppoは、再設計されたピクセル構造と同時に機能している、カスタムの透明素材を使用することで、光がカメラによく届くということを述べていた。センサー自体は、前面に広角レンズの他セルフィーカメラよりも大きいと言われている。Oppoはディスプレイの品質には妥協しないが、“カメラの前にスクリーンがあることが本質的に撮像画質を低下させる“ことを認めており、こうした課題に対処するため、ハードウェアに合わせたアルゴリズムを開発したと述べている。
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Oppo UDCスマートフォン (6.4” FHD+ フレキシブル AMOLED)
7.4” WQHD クラムシェル フォルダブルディスプレイ (Tianma)
  Tianmaは以前、7”以下のフレキシブルディスプレイ開発に焦点を当てていたが、2020年生産予定のモデル向けに売り込むため、7”以上のフォルダブルパネルの開発に積極的である。Tianmaは武漢にG6 2ライン目を2020年に導入予定であり、Canonトッキ製蒸着装置を初めて導入する予定である。
​  さらに、厦門市が新しい45K G6ライン導入を支援サポートするという話もある。さて、7.4”のクラムシェルフォルダブルディスプレイの仕様は下記の通りである。
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  • 3360 x 1440 resolution
  • 493 PPI
  • 3mm radius
  • 1.1mm/1.1mm/1.0mm borders for left, right and bottom
  • 107% of NTSC
  • >200,000 folds
  • 300,000:1 contrast ratio
  • 450 nits of brightness, 600 nits for high brightness mode
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Tianma の 7.4” WQHD フォルダブル AMOLED
デュアルセルTV
  BOEとHKCは、デュアルセルLCDを展示していた。 BOEは、BDセルをOLED TVと同レベルのコントラスト性能を実現することにより、OLEDとの競合技術と位置付けて、BDセルを宣伝してきた。HisenseはBOEにBDセルパネルを発注予定である。
HKCは、BOEのデュアルセル技術をFission Cellと呼び、それがNTSC比95%で500,000:1のコントラスト比と述べた。BDセルはChuzhou(滁州)ラインで開発されたが、そのラインでモニター向けが立ち上がるにつれ、モニターにフォーカスするようになり、結果として、現在ではデュアルセルパネルを積極的に量産開始するほどBOEと緊密ではなくなっている。
  HKC Chuzhou(滁州)の主力パネルは、23.6”モニターと32”および42”TV向けである。HKCは主に144Hzのゲーム用モニターにフォーカスしており、”AntGamer”としてサブブランディングしている。

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BOEの BD Cell vs. OLED 比較

Samsung Electronics 2019 インベスターフォーラムハイライト
July 9th, 2019

    Samsung(サムスン電子)は2019年6月26日ソウルでSamsung Electronics 2019 インベスターフォーラムを開催し、サムソン電子の主要事業部門における中長期戦略を発表した。
 
ディスプレイ事業
  2018年のディスプレイ事業の売上高は290億ドルで、そのうち76%がモバイルディスプレイ、24%が大型ディスプレイであった。ディスプレイ事業の売上高は、世界No.1で23%のシェアであると強調していた。特にフレキシブルOLEDのフォームファクターと画質向上によって実現される「ビッグバン」の機会を期待しており、スマートウォッチから家電、医療、オートモーティブ等、今後も新しいアプリケーションが登場するとしている。
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出所: Samsung
コンスーマーエレクトロニクス
  Samsungのコンスーマーエレクトロニクス部門は2018年の事業売上高のうち60%がTV事業(ビジュアルディスプレイ/VD)、40%はデジタルアプライアンス(DA)であった。TVでは13年間、世界No.1を維持し、世界テレビ市場規模(金額)の33%シェアを占めているという。
Samsungは75”+テレビが2018年から2020年にかけて45%以上、8Kは770%以上の割合で成長すると予想しており、8Kと超大型スクリーンを中心としたテレビに大きなチャンスがあると考えている。このセグメントの成長を実現する要因として、AIプロセッサの登場に言及していた。また、Samsung ビジュアルディスプレイでは、Micro LEDのアプリケーションとして「The Wall」を次世代のスクリーンとして挙げていた。
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モバイルコミュニケーションズ
  Samsungのスマートフォン事業は世界トップであり、20.3%(数量ベース)のシェアを誇っている。世界スマートフォン市場は2019年の13億7,000万台から2022年までには15億4,400万台に増加するとしている。また、同社は今後の成長要素として、5Gに加え、ソフトウェア、ブランド、販売、オペレーション要素の成長も見込んでいる。これら全てを「コアコンピタンス」として兼ね備えている企業がSamsungであると主張していた。モバイル部門ではタブレット、VR、スマートウォッチ、フィットネスバンド、その他の製品含め、「Galaxyエコシステム」として総合的なモバイル体験をユーザーに提供するとしている。
 
  総じて、Samsung Investor Eventでは画期的な新製品はなかったものの、ディスプレイ、TV、電話につながる事業部門の戦略的な方向性を随所に見ることができた。
2019年上半期ニュースレター
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